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【食中毒】知らないと怖い危険性と対策:家庭でできる予防法

健康
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衛生環境が進んだ現在も、食中毒の発生は後を絶ちません。
涼しくなってきてからも油断は禁物です。身近でもよく起こることだからこそ、正しい知識と予防策を心得ておくことが大切になります。
食中毒の本質やメカニズムと対策について、分かりやすく解説しました。

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◆食中毒の基本知識

【食中毒とは】
細菌やウイルス・化学物質などの有害な物質が食べ物や飲み物に混入し、摂取することで腹痛や下痢・嘔吐などの急性症状が発生する病気のこと。
食中毒は全世界どこでも発生し得るもので、飲食店だけでなく家庭でも発生するリスクがあるため、正しい知識と予防策が重要です。

◆食中毒の原因と種類別特徴

食中毒の主な原因には、以下のようなものがあります。

・細菌性
・ウイルス性
・化学物質性
・自然毒
・寄生虫

<細菌性>

例)サルモネラ菌・腸管出血性大腸菌(O157)・カンピロバクター・黄色ブドウ球菌・腸炎ビブリオ・ボツリヌス菌・ウェルシュ菌・セレウス菌etc.

よく言われる食中毒の主な原因が、食品の不適切な処理や扱いによるものです。
不衛生であったり誤った保存方法や調理法により菌が増殖し、毒素などの有害物質が体調不良を引き起こすことで最悪の場合、死に至ることもあります。

<ウイルス性>

例)ノロウイルス・ロタウイルス・A型肝炎ウイルス

ウイルス性食中毒は一年を通じて発生する可能性がありますが、特に冬季に流行することが多いです。ノロウイルスは冬季に特に流行しやすく、大規模な集団感染を引き起こすことが知られています。この時期はウイルスの活動が活発になるため特に注意が必要です。
A型肝炎ウイルスやロタウイルスは季節に関係なく発生することがあります。

<化学物質性>

例)水銀・銅・ヒスタミン・鉛etc.

食品に本来含まれない有害な化学物質を摂取することによって発生する食中毒です。洗剤・漂白剤、重金属、農薬、食品添加物等による食中毒などがあります。

<自然毒>

例)フグ・貝・キノコ・トリカブト・じゃがいも(ソラニン)・カビ・スイセン・モロヘイヤ(種子や莢)etc.

自然毒とは動物や植物が本来持っている有毒成分の他に、食物連鎖を通して動植物に取り込まれた毒素を指します。

<寄生虫>

例)アニサキス・トキソプラズマ・広東住血線虫・クリプトスポリジウム

寄生虫とは、動物やヒトの体内で生活する生物です。寄生虫が付着した生鮮食品を生で食べることや、汚染された水道水などが原因で食中毒を引き起こします。

◆細菌性食中毒の感染源と対策

食中毒を引き起こす菌

食中毒の原因となる菌は数多く、その種類や特徴によって対策方法も異なる場合があります。

《カンピロバクター》
特に鶏肉など生肉が主な原因となる細菌性食中毒菌です。表面に付着していることが特徴で、生肉の状態での管理の仕方や中心部まで充分に加熱するなどが予防の鍵となります。

《サルモネラ菌》
家畜や鶏卵に多く存在し、特に生卵や鶏肉が感染源となることが多く、生卵に関しては卵殻内にも汚染が広がることが報告されています。サルモネラ食中毒の予防には、卵や鶏肉を十分に加熱することが重要です。

《腸管出血性大腸菌》
代表的な腸管出血性大腸菌としてO157が知られています。この菌は少ない菌数で発症し、激しい腹痛や血便などを引き起こします。生野菜や未加熱の食品が感染源となることがありますので、できるだけ加熱調理をし、食材を取り扱った器具は十分に洗浄することが肝要です。
※O157は非常に感染力が強く、感染者の嘔吐物や接触を介した感染の危険性があるので注意が必要です。

《腸炎ビブリオ》
腸炎ビブリオは特に海産物に関係することが多い細菌です。海水から採取される魚や貝が菌の保有源となります。
生の海産物は十分に加熱し、生食する場合は新鮮さを保ちつつ、流水でしっかり洗浄することが推奨されます。

《黄色ブドウ球菌》
黄色ブドウ球菌は人の皮膚や粘膜に存在する常在菌で、食品を介して感染することがあります。
食品中で増殖すると熱に強い毒素を産生し、それを摂取すると食中毒を引き起こします。
食品の適切な保存と手指の清潔が重要な予防策となります。

《ウエルシュ菌》
ウエルシュ菌は熱に強く、嫌気性の細菌です。大鍋で調理された食品(カレーなどの煮込み料理)で増殖しやすい性質を持ち、食べる直前に再加熱しても毒素を取り除くことができず食中毒を発生させることがあります。鍋物を調理した後に保存する際はすぐに温度を下げること、冷蔵庫などで冷却し早めに消費することが予防策です。

《セレウス菌》
セレウス菌は多くの環境に存在する菌で、ご飯やスパゲティなどのでんぷん質の食品で増殖しやすく、炊飯後の放置されたご飯などが原因となることが多いです。
過去には作り置きのチャーハンや焼きそばで発生した事例もあります。

《ボツリヌス菌》
ボツリヌス菌は最も危険な食中毒菌の一つであり、密閉された環境(缶詰や真空パックなど)で増殖しやすい菌です。毒素は神経毒であり、摂取すると呼吸困難などの重篤な症状を引き起こします。適切な調理法や保存法を守り、疑わしい食品は摂取しないことが重要な予防策です。

細菌性食中毒の予防法

①清潔にする

手洗いの重要性:調理前はもちろん、生肉や魚・卵を扱った後に手を洗うことで、細菌やウイルスの感染リスクを減らすことができます。手洗いは、食中毒の原因となる病原菌を「つけない」ための基本的な対策です。流水と石鹸を使い、少なくとも20秒以上かけてしっかりと洗いましょう。
アルコール消毒を行うことも効果的です。

調理器具の衛生管理:まな板や包丁、ボウルなど特に汚染されやすい器具は使用後すぐに洗浄し、熱湯で殺菌することが重要です。生肉や魚介類を調理には専用のまな板と包丁を使用し、これらを他の食材と共有しないようにしましょう。これにより交差汚染を防ぎ、食中毒のリスクを大幅に減少させることができます。
食品などを触った後の手の洗浄だけでなく日常的に使用するふきんなども定期的に消毒し、清潔に保つことが必要です。

②加熱・殺菌

食品の正しい加熱方法:食中毒菌は適切な加熱によって殺菌することができます。肉類、魚介類、卵料理は生で食べることを避け、中心部までしっかりと火を通すことを心がけましょう。
※75℃で1分間以上の加熱を徹底することを推奨
調理の際には肉や魚を他の食材と接触しないようにすることも重要です。

③保存・温度管理

食品の適切な保存方法:購入後や調理後の食品は放置せず、できるだけ早く冷蔵庫や冷凍庫に保存しましょう。冷蔵庫の温度は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に保つこと。
特に夏場は気温が高く細菌が増えやすいため、食品の保存には十分な注意が必要です。
冷蔵庫や冷凍庫に食材を詰め込みすぎると、冷気が十分に循環しないため効果的に冷却できません。さらに冷蔵庫内も定期的に掃除し、清潔に保つこともポイントです。
生肉や魚はビニール袋や容器に入れ、他の食品と分けて保存するといいでしょう。

ここがPoint!
細菌性食中毒の一番の対策法は、『菌の増殖を防ぐこと』です。
そのために重要なのは温度管理!
細菌の多くは室温(約20℃程度)で活発に増殖し始め、人間や動物の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。この温度帯で長時間放置することが、最も危険なのだと覚えておきましょう。
一度菌が増殖してしまうと、そのあとに再加熱や冷凍しても菌や毒素を排除しきれないため危険です。

◆ウイルス性食中毒の感染源と経路

主な感染経路

・調理が不十分な食品や汚染された水を摂取すること
例えば、生牡蠣や加熱が不十分な冷凍食品などが典型的な例です。また、インフラが整っていない地域の水道水や井戸水もリスク要因となります。

・人から人への直接的な感染
特にノロウイルスは非常に少量のウイルスでも感染するため、家庭内や学校など密接な環境で広がりやすいです。感染者が触れた物を介してウイルスが他人に伝染することもありますので、消毒・手洗いの徹底が重要です。

《ウイルス性食中毒が他の細菌性食中毒と異なる点》
細菌性食中毒は菌が増殖した食品を摂取することで起こりやすいのに対して、ウイルス性食中毒は感染力が強く、接触や飛沫を通して人から人へと簡単に広がります。ウイルス性食中毒は見た目や匂いに異常がなく食品の腐敗や放置時間とも関係がないため、対策が難しいとされています。

食品にウイルスが付着する原因

・食品そのものが原産地で既にウイルスに汚染されている
農場で使用される肥料や灌漑水が既にウイルスに汚染されていることが要因です。
生牡蠣のノロウィルス汚染もこれに当たります。新鮮かどうかは関係ありません。

・加工過程や流通過程での衛生管理の不備
食品の加工や包装の際に使用される機器が定期的に消毒されていなかったり、従業員が適切な手洗いや衛生管理を行っていなかったりすると、ウイルスが食品に付着します。食品業界全体の衛生管理の徹底が求められます。

・家庭内での調理時の不適切な取り扱い
生肉や魚介類を取り扱った後に手を洗わずに他の食品に触れると、ウイルスが広がるリスクがあります。調理器具も交差汚染を防ぐために専用のものを使用するなど、適切な管理が必要です。

◆ウイルス性食中毒の予防方法

<日常生活での衛生管理>
食事前やトイレの後、また外出から帰宅した際に石鹸を使って念入りに手を洗いましょう。
ウイルスは非常に感染力が強いため、手指の消毒は日常的に行うことを推奨します。家庭内の掃除や消毒も重要で、特にキッチンやトイレは定期的に消毒することが効果的です。

<調理時の食品の取り扱い>
生肉や魚介類などの生鮮食品は他の食品と交差しないように、それぞれ専用のまな板と包丁を使い分けましょう。
食品を十分に加熱することも重要で、中心部が75℃より高い温度で1分以上加熱することが推奨されます。調理器具や手を洗った後にタオルで拭く場合は清潔なタオルを使用し、使用後は洗濯するか使い捨てのペーパータオルを使用するのが良いでしょう。

<外食時の注意点>
外食時には、生ものや未加熱の食品を避けることも大切です。飲食店の衛生環境も確認し、信頼できる店舗を選ぶようにしましょう。
食事前にはアルコール消毒液を使って手を消毒することで、ウイルスの菌を減少させることができます。体調がすぐれない場合やウイルス性食中毒の疑いがある場合は、外食を控えることが自身と周囲の人々の健康を守ることにつながります。

◎細菌やウィルスに感染してしまったら…

<感染した場合の対処法>
まずは適切な医療機関で診察を受けることが重要です。症状が軽度であっても、特にノロウイルスや腸管出血性大腸菌O157に感染した場合は感染力が強いため、医師の指示に従い安静を保ちましょう。
嘔吐や下痢で体内の水分が失われやすいため、水分補給をしっかりと行います。市販の経口補水液などを利用して電解質のバランスを保つことも効果的です。

<家庭でやるべきこと>
調理器具や食器の洗浄が重要です。特にまな板や包丁は生肉や生魚を扱った後には徹底的に洗浄し、可能であれば熱湯消毒を行います。
家庭内で感染者が出た場合には嘔吐物や排泄物の取り扱いに十分注意し、使い捨て手袋やマスクを使用して処理後は手洗いを徹底しましょう。

<公共施設での対策>
公共施設は多数の人々が利用するため、ウイルス性食中毒のリスクが高まります。
トイレや調理場などの共用スペースの清掃と消毒が必須です。特にトイレや水回りは定期的に次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤で清掃し、清潔を保つことが求められます。
施設内で食事を提供する場合、調理従事者は手洗いや手指の消毒を徹底し、感染予防のために作業服や調理器具の衛生管理を行うよう、徹底してください。

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◆化学物質性食中毒の感染原因

《ヒスタミン》
化学物質による食中毒の多くはヒスタミンによるものだと言われています。ヒスタミンを多く蓄積した魚介類やその加工品を食べることにより中毒症状を発症します。
ヒスタミンによる食中毒はアレルギー様食中毒と呼ばれ、摂食後30~60分ほどで顔面の紅潮、じんましん、発熱、嘔吐、頭痛などの食物アレルギーに似た症状が現れます。

《金属》
やかんや水筒などの金属製容器に酸性の飲み物を入れると、銅などの金属が溶け出すことがあります。金属が溶け出した飲み物を摂取することで、頭痛・めまい・吐き気・下痢などの食中毒症状を引き起こす要因になります。

《薬品・添加物》
農薬や添加物など食品の生産・流通・消費の過程で外部から混入される物質が原因となるケースがあります。
家庭や飲食店においては、洗剤や漂白剤の誤飲による中毒事故の発生も報告されています。

◆化学物質性食中毒の予防法

<ヒスタミン類>
マグロ・サンマ・カツオ・アジ・サバ・イワシ・ブリ、等のヒスチジン(アミノ酸の一種)を多く含む赤身魚や魚介類を常温に放置するなど不適切な管理をすると、ヒスシジンがヒスタミン生産菌によりヒスタミンとなります。
ヒスタミン中毒を予防するには、以下のことに注意する必要があります。

・魚を生のまま保存する場合は、すみやかに冷蔵、冷凍する
・解凍や加工する際には、魚の低温管理を徹底する
・鮮度が低下した魚は使用しない
⚠ヒスタミンは調理時に加熱しても分解されません
・信頼できる業者から仕入れるなど、適切な温度管理がされている原料を使用する

<金属の溶出に伴う食中毒>
近年は、スポーツドリンクやサイダーなどの炭酸飲料を水筒に入れたことが原因で、ステンレスが溶け出したことによる食中毒が発生する被害が増えています。
金属製の容器による食中毒を防ぐために、以下の点に気を付けましょう。

・やかんや水筒などの容器の内側にサビや傷がないか確認する
・酸性の飲み物を金属製の容器に入れることは避け、長時間の保管をしない
・金属製の保存容器は、定期的に新しいものに交換する

<科学薬品の混入>
誤飲をしそうな薬品は表示や保管場所の適切な管理をするなど、食品に混入しないように徹底し、扱う際には目を離したりしないようにしましょう。
農薬や添加物は必要以上に恐れることはありませんが、正しい知識を身に付けた上で信頼できる食品を選ぶことが一番です。

◆自然毒性食中毒の感染経路と予防法

自然毒による食中毒は、誤った知識で食べてはいけない動植物を摂取してしまうことが原因のほとんどです。

<フグや貝・キノコ・野草など>
食べられるものとそうでないものを区別するのは素人には難しく、たぶん大丈夫だろうと軽率な判断をしてしまわないように。

<じゃがいも>
じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」という有害物質があります。
小ぶりなじゃがいもや日に当たって皮が緑色になったもの、保管中に芽が出たじゃがいもは食べてはいけません。

<モロヘイヤの種子や莢>
モロヘイヤは種子と莢に毒があるので、間違って食べないようにしましょう。

◆寄生虫性食中毒の感染源と予防法

・加熱
食中毒を引き起こす寄生虫の代表例であるアニサキスは、サバやアジ・カツオなどの赤身魚に多く寄生しています。
寄生虫は加熱で死んでしまいますので、新鮮な食材をよく加熱することにより寄生虫による食中毒のほとんどを防ぐことができます。

・冷凍
食品をマイナス20℃で一定時間冷凍することでも、寄生虫による食中毒を防ぐことはできます。
しかしそうした知識がなく、新鮮な食材を冷凍させると風味が落ちる・新鮮なら問題ないという誤解などから、刺身を原因とした寄生虫による食中毒は減らないようです。

・洗浄
野菜・果物や飲料(水)からうつる寄生虫もあります。
近年は国内では少なくなっていますが海外ではかなりの頻度で見られますので、海外旅行から帰国後に食中毒の症状が出ることがあります。
野菜・果物からうつる寄生虫は、目に見えない小さな寄生虫や寄生虫の卵が表面に付着していることが原因なので、よく洗浄すれば防ぐことができるとされています。
しかし井戸水など生水の衛生管理が不十分な場合、洗浄する水自体が寄生虫に汚染されていることもあり注意が必要です。
水は水道水など消毒されたものか、生水は煮沸して使用するなどの対策を行いましょう。

◆生の小麦粉で起こる食中毒

毒とは違う原因で起こるのが生の小麦粉による中毒です。
小麦粉に含まれるβデンプンは、加熱しないと消化しにくく、消化不良によって腹痛や嘔吐、下痢などの症状が現れる可能性があります。
さらに小麦粉は殺菌処理がされていないため、腸管出血性大腸菌O157やリステリア菌、サルモネラ菌などの有害な菌が付着している危険性もあります。
小麦粉を原料とした食品(パンケーキやお好み焼きなど)を安全に食べるには、十分に加熱することが重要です。小麦粉を加熱すると糊化という現象が起こり消化しやすくなります。
家庭で手作りする場合は、特に注意が必要です。

◆まとめ

食中毒の危険性が最も増すのは夏というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
ちょっとした気の緩みや間違った認識で、取り返しのつかない事態になることもあります。家庭でできる対策をしっかり実践し、安全で健康な食事を楽しんでくださいね。

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