転職する際に面倒なのが、社会保険の手続きです。その仕組みや制度の内容を理解しておかないと、意外なところで損をするかもしれません。
特に退職日と入社日を決めるときに、社会保険の特性を考慮することは重要になってきます。
ここでは、社会保険に加入する条件の人が退職・転職するときの日程について注意した方がいいことを解説します。
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◆社会保険の基本情報
◎社会保険の加入条件(※2024年3月現在)
時代によって改定されているので今後は変更されることもあり得ますが、基本的に会社で加入する社会保険(厚生年金・健康保険)は、以下の条件が当てはまる場合には加入必須となっています。
○フルタイムで働く方及び、週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の方(正社員か否かは問いません)
○週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上、勤務期間1年以上見込み、学生ではない、従業員数501人以上の企業で働いている
《令和4年(2022年)10月以降~加入対象となった方》
従業員数101人以上の企業で働く、以下のすべてを満たす人が対象になります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円以上
・2か月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く方と同様)
・学生ではない
◎保険料と徴収の仕組み
■健康保険
健康保険には「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類があり、保険料は標準報酬月額に応じて変動します。
■厚生年金
厚生年金の保険料は、標準報酬月額×厚生年金保険料率で計算します。
2017年9月(10月納付分)以降の厚生年金保険料率は18.300%で固定されたので、計算式は標準報酬月額×0.183です。
介護保険とは
40歳以上の従業員は介護保険料の納付も必要になります。
保険料率は1.82%です。
※健康保険・厚生年金・介護保険のいずれも雇用している会社が半額を負担します。
[標準報酬月額について]
毎年4月~6月の賃金(給与が支払われた月)をベースに決定し、毎年9月に改定が行われます。
標準報酬月額には基本給だけではなく、労働の対象となる給与や諸手当が含まれます。
残業代も含まれるため、標準報酬月額を算出する4月~6月(翌月支払いの場合は3月~5月の勤務)に残業をしてしまうと標準報酬月額が上がり、保険料も上がってしまうので注意が必要です。
◆社会保険の手続きによる退職日・入社日の決め方
社会保険は月末に所属している会社に手続きの義務があります。
退職してから転職するまで期間が空いてしまう場合には、前職で社会保険を払ってから辞める方が何かと都合がいいと思いますので、できるだけ末日を退職日にすることをお勧めします。
ただし翌月末までに入社しないと国民年金と国民健康保険へ加入手続きをしなければならなくなり、その月の支払いを忘れると未納となってしまうこともあります。
☆退職日がうるう年の2月末になる場合には特によく確認をしてくださいね。
すでに転職先が決まっていて日を空けずにすぐ次の会社に入社できる場合には、末日に退職する必要はありません。そのため、入社日に関しても新しい会社ときちんと相談しておくことが大切です。
社会保険についても、いつから加入できるのか確認しておきましょう。
重複加入に注意!
実は社会保険は重複して加入しても、制度上は問題なしとされています。
そのため、月末退社予定の人が有給消化中に退社を待たず次の職場に入社してしまうと、厚生年金と健康保険の保険料を二重で支払うことになって逆に損をするケースがあります。
せっかく働いても、無駄な保険料を給料から引かれて収入がマイナスになってしまっては意味がありませんからね。
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こちらは二重加入で損した時の明細です。
7月末まで前職で有休を消化中だったにも関わらず転職先の企業に入社するタイミングを7月下旬にしてしまい、2日ほど働いたのですが社会保険料を払わされる羽目になり、働き損どころかマイナスになってしまいました。
転職先にはまだ有給消化中であり、社会保険加入は翌月からにしてほしい旨を伝えていたのですが、すでに手続きされてしまったものは返せないと言われて泣く泣く諦めました。
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◆まとめ
社会保険は保険料の計算や制度の仕組みをよく知っておかないと、意外な落とし穴にハマってしまいかねません。
退職日と入社日を何も考えずに決めてしまうと、数万円の差が出てしまうこともあります。
日本の複雑な制度への理解を深めて、情報を賢く入手することが自らを助けることに繋がるのです。