先日のニュースで気になった人も多いかと思いますが、びわで起こるアレルギーというのは、どのようなものなのでしょうか。他にも果物や野菜で起こるアレルギーにはどのようなものがあるのか解説します。
また、びわアレルギーと花粉症がどのように関連しているのか、予防法や気を付けるべきこと、対策についても触れていきます。
◆びわアレルギーとは
2024年6月、山梨県富士吉田市で、給食のビワを食べた市内の小中学校の児童生徒計126人が喉の痒みなどのアレルギー反応を訴えたという事例がありました。
ネットでは様々な意見や議論があり、「そもそもびわでアレルギーなんて起こるのか?」という声も聞かれました。
実はびわでもアレルギーが起こることが確認されています。
過去には2019年の6月にも、東京大田区の小学校で給食のびわを食べた生徒11人が、アレルギーとみられる症状で救急搬送されたという事例がありました。
◆びわによるアレルギーで出る症状
《口腔アレルギー症候群》
びわやその他の特定の果物・野菜を食べた後に口の中がイガイガする、喉が詰まる、痒い、という症状が出たことはありませんか?
これは口腔アレルギー症候群と呼ばれるアレルギーの一種で、口やのどの痒み、腫れなどの症状が現れることが多いです。この症状は特に花粉症患者に発生しやすいとされています。他にも、鼻水や目の充血、咳、じんましん、下痢や腹痛などの消化器症状などが生じることもあります。
重症の場合にはアナフィラキシーショックを引き起こす恐れもあるため、非常に注意が必要です。これらの全身症状は、摂取後数分から数時間内に現れることが多いため、異変を感じた場合はすぐに医療機関を受診することが望ましいとされています。
◆びわアレルギーと花粉症の関係
びわアレルギーによって発生する口腔アレルギー症候群は、花粉症患者に起こりやすいとされています。
これはびわ以外の果物や野菜などでも起こるもので、アレルギーを持つ花粉と似た形のたんぱく質を含む果物や野菜を摂取することが原因です。
《交差反応》
花粉症とびわアレルギーの間には「交差反応」というメカニズムがあります。これは、特定の花粉にアレルギー反応を持つ人が、その花粉と似た構造を持つ果物や野菜にもアレルギー反応を示すことを指します。
「カバノキ科」のハンノキやオオバヤシャブシの花粉症がある方は、びわでアレルギーを起こしやすいと言われています。びわ以外ではリンゴ・もも・さくらんぼなどのバラ科の果物で症状が出やすくなります。
他にはヒノキ科のスギ花粉のアレルギーがある場合にはトマト(ナス科)、イネ科の花粉症ではスイカやメロン(ウリ科)・キウイフルーツ(マタタビ科)、キク科のブタクサ花粉症はメロン・スイカ・キュウリ(ウリ科)、バナナ(バショウ科)などが挙げられます。
◆対策と予防方法
花粉症とびわアレルギーの交差反応は、特に春や秋など特定の花粉が多く飛散する時期に顕著になります。これらにアレルギーがあると自分で分かっている場合は、特定の果物や野菜の摂取を避けることが最も効果的な予防法です。
さらに、気をつけたいのは誤った自己診断です。アレルギー症状が出た場合は自己判断で治療を行わず、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
対応としては症状の出る果物避けることが基本ですが、抗アレルギー剤を内服することで症状を緩和することが可能な場合もあります。
医師の指導の下、花粉症の治療をしっかりと行うことで、びわなどのアレルギーも軽減されるかもしれません。適切な検査と診断を受けて症状を正確に把握し、適切な治療を受けることもひとつの手ですね。
《食事管理のポイント》
びわアレルギーや花粉症の症状を抑えるためには、食事管理が非常に重要です。まず、アレルギーの原因となる果物や野菜を摂取しないことが基本です。びわだけでなく、交差反応を引き起こす可能性のある他の食材についても注意が必要です。摂取する前にしっかりと調べることが大切です。
また、加熱することでアレルギー反応を軽減できる場合があります。生で食べるのが避けられない場合は、冷凍することも一つの方法です。ナッツやある特定の果物などはアレルゲンとなるプロテインが熱に弱いことが知られていますので、調理法を工夫すると良いでしょう。
《医療機関での検査と診断》
口腔アレルギー症候群や全身症状が疑われる場合、自己判断で対応せず、医療機関での検査と診断を受けることが非常に重要です。アレルギー専門の医師による血液検査や皮膚テストを受けることで、具体的なアレルギーの原因を特定できます。びわなどのアレルギーが判明した場合、どの程度の食材に反応するのかを知ることが出来るため、日常生活で必要な対応策を計画することが可能です。
さらに、医師の指導に従い、適切な薬物治療を受けることで、アレルギー症状を効果的に管理できます。例えば、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用することで、症状の発現を抑えることが期待できます。
《応急処置と日常生活での注意点》
びわアレルギーの症状が突然現れた場合の応急処置も知っておくべきです。口腔内のかゆみや腫れを感じた際には、まず口をすすぎ、原因となる食材を取り除くことが第一です。さらに、抗ヒスタミン薬を服用することで一時的な症状軽減が期待できますが、症状が強い場合は直ちに医療機関を受診することをお勧めします。
日常生活においてもいくつかの注意点があります。外食時にはメニューに使用されている食材を確認し、アレルギーの原因となることを伝えることが重要です。また家庭内でも使用する調理器具や調理台の清潔を保つことで、アレルゲンの混入を防ぐことができます。何よりも周囲の人々に自身のアレルギーについて理解と協力を求めることが、安心して生活するためには欠かせません。
◆びわのアレルギー以外の影響
・お腹が緩くなる
びわを食べ過ぎると食物繊維や水分の過剰摂取を招き、腹痛や下痢、消化不良を引き起こすことがあります。便秘解消に効果があるとされる食物繊維も、摂り過ぎるとかえって便秘を悪化させてしまう危険性があることも認識しておきましょう。
びわをそこまで大量に消費することはあまりないと思いますが、大好物であっても1日あたりの適量である5~6個を目安に食べるようにしましょう。
・種による中毒
びわの種や未熟な果実には、アミグダリンやプルナシンという青酸を含む天然の有毒物質(シアン化合物)が多く含まれています。
びわの種子が健康に良いという根拠のない噂が流布されて、びわの種子を粉末にした食品などがインターネット上で流通していることが確認されていますが、シアン化合物を高濃度に含む食品を多量に摂取すると、健康を害する場合があります。
青酸の多量摂取は頭痛やめまい・嘔吐などの中毒症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもあるため、絶対に食べないようにしてください。
自分でびわの種子を粉末にして摂取したりすることも避けましょう。
◆まとめ
びわアレルギーと花粉症の関係を理解することは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。花粉症患者に口腔アレルギー症候群が起こりやすいことを知っておくと、症状が現れた際に迅速に対処できます。
また、花粉症の治療をしっかりと行うことも重要です。花粉症が管理されていれば、果物アレルギーや野菜アレルギーの症状も軽減されることがあります。アレルギー症状が現れた際には応急処置を講じることで、重篤な状況を避けることが可能です。しっかりとした対策を取ることで、健康で快適な生活を送ることができるのです。
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